歯学センターの窓から

「ばい菌のマンション」歯学センターの窓から no.104

ばい菌のマンション
 「毎日歯を磨いているのに、何故虫歯や歯周病になるのですか?」と、多くの方に聞かれます。歯を磨いていれば大丈夫。それは正解であり、間違ってもいます。病気の原因は歯の表面に作られたばい菌のマンション、「バイオフィルム」が残っているからなのです。
 バイオフィルムとは何種類ものばい菌がぬるりとした粘液の中で共に助け合いながら、歯の表面にマンション郡を建てて暮らしている状態。お掃除がとても面倒な排水溝のぬめりも、実はバイオフィルムです。ばい菌に効く薬もあるのですが、バイオフィルムになって守られてしまうと、通常の十倍量の薬でもその効果がなくなってしまうのです。
 そんなバイオフィルムを落とせるのは、しっかりとした歯磨きです。出来れば香りで誤摩化されてしまう歯磨き粉を使わずに、歯ブラシで時間をかけて丁寧に。それでも30本近く有る歯の裏側や隙間等は磨けません。たまには歯科でのプロフェッショナルクリーニングをお勧めします。きちんと磨かれた奇麗な歯には、バイオフィルムが付着しにくくなります。大掃除をした後は、それだけで気分が晴れやかになるもの。いつもきれいな歯で、さわやかな笑顔を。

田北行宏