歯学センターの窓から

「スウェーデンへ」歯学センターの窓から no.94

window_08
15年前、友人に招かれた結婚式で、初老の外国の方の隣に座らせていただきました。
その方の名前はウルフ・ニルソンさん。
日本語が分からないようでしたので、私が英語で通訳のお手伝いをしました。
式の最後、ウルフさんから「君の夢はなに?」と聞かれ、「インプラントの手術をより安全に行うこと。そのためにも、もっと口腔外科の手術を勉強したい」と伝えました。

それから1年後、突然ウルフさんから電話がかかってきました。
「Dr.田北、スウェーデンの国立病院で口腔外科の勉強をしないか?そこで良い医療を学んで来るといい」と強く勧められました。

実はウルフさん、世界1位のインプラントメーカーの日本支社長だったのです。
それまで私の手術はアメリカスタイル。
世界の学会でドクター達が「おおっ!」と驚いてくれる手術を追いかけていました。
私は自分の診療室を閉じ、スウェーデンで安全かつ患者さんの心のケアをメインに据えた医療を学びました。
自分の診療が人間と対峙するスウェーデンスタイルに変わっていったのは、ウルフさんとの出会いがあったからなのです。

田北行宏